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「……先輩。それほどまでにあたしを?」
土方は強く頷いた。
すると凪の瞳からポロリと真珠のような涙がこぼれ落ちた。
「土方先輩。あたし、嬉しいです」
(通じた……!ようやく俺の気持ちが!!)
土方は感動のあまり、身体を震わせた。
「凪……!」
土方はそのまま凪を抱き締めようとしたが、そこで動きを止めた。
(いや、待て?今までの凪を考えるに、この展開には必ずオチが待っている。
まさかと思うが、これでも俺の気持ちが通じていない可能性もある。
確認してみるか?)
凪の鈍感ブリを散々味わった土方としては、疑いたくはないが疑わざるを得ない。
ゆっくり息を吐き出すと、土方は真剣な表情で凪に聞き返した。
「凪、本当に嬉しいか?」
凪は「当然です!」と顔を上げた。
「だって土方先輩はあたしを大切な仲間だと心から思ってくれたんですよね!?
これが嬉しいと言わずに何を嬉しいと言うんですか!?」
(……うん。そうだな……。お前はそういう奴だ)
先程まで盛り上がっていた気持ちが一気に奈落に落ちていくのを感じながら、土方は諦めの吐息を洩らした。
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