第10話 証を勝ち取れ

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (ここは……何処?) 目を覚ますとそこは埃の臭いが充満した小部屋だった。 身体を起こそうと、手を動かそうとしたが、両手が前で組まれるように結ばれている。 (なんで……?) 凪は周囲を見回した。 小さい窓から洩れる光から、夕方だとは理解できる。 その光に照らされた室内には、金属の籠に入ったバスケットボール、隅には跳び箱、その前に立て掛けるようにして置かれた錆び付いたハードル、身体の下にはマットレスが無造作に置かれている。 (体育倉庫?) 何故自分が体育倉庫で、手を縛られているのか? 凪はボーとする頭を振りながら考えた。 原稿が書き終わり、お昼休みに校長先生の部屋に行き、それを手渡した。 その後、生徒会室に1度顔を出そうと裏庭を通ろうとした時に、後ろから誰かに羽交い締めにされた。 (そうか……何かを嗅がされたから頭が働かないんだ……) 羽交い締めにされて抵抗してるうちに、急に頭がボヤけて意識を無くした事を思い出し、凪はどうするべきか頭を働かせた。
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