第10話 証を勝ち取れ

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制服の胸ポケットには携帯電話がある。 電話すればいくら口をガムテープで塞がれていても、もがき声で異変に気付いて助けに来てくれるハズだ。 だが、手が縛られていてポケットに手を入れる事は不可能だ。 自力で出ようにも扉は恐らく鍵がかかっている。 (まずは、この紐を何とかしなきゃ……) 幸い今は誰もいない。 今のうちにロープをほどこうと切れそうなものを探した。 とはいえ、体育倉庫だ。 ハサミもカッターもあるわけがない。 (口が塞がれていなきゃ歯を使うことが出来たのに……) 悔しそうに項垂れたが、それでも何か代用できるものがないか探し続けた。 すると跳び箱の前に置かれたハードルが目に入った。 (ハードルの脚の部分で切れないかな?) いまいち自信はないが、他に代用できるものは無さそうだ。 凪はハードルを倒してバーを踏んで固定すると、手と手の間にそれを挿し込み、上下に擦り始めた。
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