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制服の胸ポケットには携帯電話がある。
電話すればいくら口をガムテープで塞がれていても、もがき声で異変に気付いて助けに来てくれるハズだ。
だが、手が縛られていてポケットに手を入れる事は不可能だ。
自力で出ようにも扉は恐らく鍵がかかっている。
(まずは、この紐を何とかしなきゃ……)
幸い今は誰もいない。
今のうちにロープをほどこうと切れそうなものを探した。
とはいえ、体育倉庫だ。
ハサミもカッターもあるわけがない。
(口が塞がれていなきゃ歯を使うことが出来たのに……)
悔しそうに項垂れたが、それでも何か代用できるものがないか探し続けた。
すると跳び箱の前に置かれたハードルが目に入った。
(ハードルの脚の部分で切れないかな?)
いまいち自信はないが、他に代用できるものは無さそうだ。
凪はハードルを倒してバーを踏んで固定すると、手と手の間にそれを挿し込み、上下に擦り始めた。
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