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目が慣れていき、シルエットの顔が徐々に見えてきた。
そこにいたのは柔道部にバスケ部の部長だった。
「チッ。少しは怖くなって泣き出すかと思ったのによ。可愛いげのねぇ女だな」
「叫ばせようぜ。ガムテ取ってさ」
「そうだな。コイツの泣き叫ぶ声聞かなきゃ気がおさまんねぇ」
二人はそう口々に言うと、凪の口から強引にガムテープを引き剥がした。
テープの粘着力で引っ張られた口からは唾液に混じって赤い血が滴り落ちていく。
それを見た二人は満足気に笑った。
「俺らをコケにした罰だ。ざまぁみろ!」
凪はそれでも黙って睨み続けた。
すると、バスケ部が凪の腹をめがけて蹴りを入れてきた。
「クッ!!」
痛みが腹を突き抜ける。
凪は苦痛のあまり、顔を歪めた。
「叫べよ!!助けて下さいって懇願しろよ!!」
バスケ部は泣きわめかない凪に苛立ちを感じ、背中を何度も踏みつけるように蹴った。
それでも凪は歯を食い縛り、叫ぼうとしない。
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