923人が本棚に入れています
本棚に追加
心に暖かいものが流れ、全身に染み渡っていく感覚に、くすぐったさを感じながら、土方から離れると、穏やかで愛しそうに見つめる視線がそこにあった。
「漸く『愛している』と言ってくれたな」
その時になって初めて、自分から愛の言葉を紡いでいない事に気が付いた凪に対して、「忘れすぎだ」と言った土方の顔が再び近付いてきた。
今まで、何度も土方とキスをした。
だが、それらは一種の事故みたいなものばかりだった。
凪はそっと薄目を開けて土方を盗み見た。
すると、同じようにして自分を見る土方と目が合った。
暖かく、凪の全てを包み込む優しい眼差し。
凪はそんな瞳に包まれている自分の幸せを噛み締めながら微笑み返した。
(これをあたしのファーストキスにしよう)
凪はそう心の中で呟いて、再び瞳を閉じた。
ーーーーーーFINーーーーーー

最初のコメントを投稿しよう!