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風雨で濡れたTシャツを脱いだ二等兵。
驚きのあまり、眼を見開く歌姫。
「…背中、どうしたの?」
二等兵の背中に、赤いルーン文字。
「ん? ああ、気になる? 入隊した時に強制で入れられた。スカルプ…なんとかって技術で入れ墨とは違うってよ」
背中越しに、呑気に答えた二等兵。
「痛い?」
「いや、普段はなんとも無い」
「…そう。お願いなんだけど、私以外に見せないでね」
「え?! 口説かれてんの俺?!」
「そうかもね」
ルーンが意味するのは『力持つ者』。覇道を歩む者の証。
「(やっと見つけた…)」
元は呪術を得意とする流浪の民。脈々と流れる呪術士の血。華やかな容貌の下に、燃える野望の歌姫。
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