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桜の樹の下。ベンチに腰掛けた少年。包帯だらけで満身創痍。
「あ、桜…。春なんだな…」
広げた掌。ひらひらと落ちてた桜の花弁。咲き急いだ自分自身と重なる命。
少し離れて、少年を見守っていた一人の少女。何をするにも一緒だった幼馴染み。少年程では無いが、やはり傷と湿布だらけの肌。
寂しそうな微笑。やがて、振り返る事無く立ち去る少女。揺れた赤いチェックのスカート。
昔は二人で歩き、今は一人で歩く道。
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