危急する演劇部

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「よう!おはよう!本藤逸也。おねむの時間は終わったか?」 馬鹿でかい声をだす馬鹿。 めちゃくちゃむかつく。 そう思い、意地で立ち上がろうとすると目の前にいた女性とが声を発した。 「やめてあげてくださいよ、賀田さん。 本藤さん、病み上がりで体調悪いんですよ。」 「なんだよー。いつも本藤のことばっか気にしちゃってさー。 いいなあー。 俺も朱鷺子ちゃんに構ってもらいたいのになー。」 頭の上で賀田の馬鹿がかわい子ぶる。 吐き気がするほど腹立つ。 怒りにまかせて今度こそ立ち上がろうと思うと 少し離れた所から二つの声がした。 「やめたげてくださいよ。賀田さん。早く本藤さんに脚本渡してあげてくださいよ。」 「『春ウサギ激ウマラヴ』面白いですよ~」 「香衣ちゃん、そんな話じゃないでしょ。」 「『春ウサギ激ウマラヴ』は無いが、この脚本は面白いぞー! さあ、読め!本藤。」 そう言うと、賀田は俺の頭上から退いた。 そうして俺はようやく、頭痛の止まぬ頭を、起こすことが出来た。
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