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目が覚めたら見たことのない空が広がっていた。
草原に倒れた体を起こし、盛昌は辺りを見渡した。丘が広がり、風が盛昌の長い髷を揺らした。
見たこともないほど大きい鳥が空を悠々と飛んでおり、赤い草が生えていたが花は綺麗だった。
その花の隣に松風は倒れており、盛昌が近づくとのっそりと起きた。
「松風。ここは何処だろな?」
朱槍を拾い、肩に担ぎ上げて遠くに見える海を見ながらいった。
「俺の国では海はなかったぞ。近いと言えば敦賀か?」
煙管をくわえて松風に訊いているふうにいった。当然、松風はなにも言わない。
かの前田慶次は松風と話すことが出来たらしいが盛昌には好きか嫌かぐらいしか分からなかった。
「確か洞窟にいたはずなのだが。ここはいったい何処だろな?」
盛昌は松風にまたがった。その刹那、男性の悲鳴が聴こえた。
盛昌は煙をはき、何事もなかったように声とは真逆の方向に馬を走らせた。しかし、その直後に女性の悲鳴が同じ方向から聴こえた。
盛昌は松風を後ろに方向転換させ、走らせた。
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