第二話 強奪事件Ⅰ

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「くそっ!逃がすかぁ!」 イザークが血相を変えて追いかける。ヒルダも一緒に追いかける。ディアッカはキャノン砲を構え、エターナルに向かって射撃をする。 しかし、高速艇で鳴らしたエターナルである。スピードだけは現役船にも負けてはいない。追いすがる三人を嘲るようにしてエターナルは宙域を離脱した。 「ちくしょぉっ!」 イザークはパネルを叩きつけ憤る。ヒルダは大切な仲間を失ったショックからコクピットの中で嗚咽を漏らす。ディアッカはバルドフェルトに状況を報告した。 「隊長…すいません…逃げられました。俺たちが出ながら…すいません…」 バルドフェルトはため息をつき、三人に帰還するよう命じた。 「お前たちだけの責任じゃない。易々と侵入を許した、ザフト全員の責任だ。お前たちはよくやってくれた。それから…ヒルダ、聞こえるか」 「はい…隊長…」 「ヘルベルトとマース…しっかり見送ってやれ…それが生きている者にできることだ…」 「バルドフェルト隊長…うぅっ…」 ヒルダは涙ながらに二人が散った宙域に敬礼をした。イザークとディアッカも… 潜入からわずか20分。あっという間のエターナル強奪であった…
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