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車が通りを数台走り去って行ったタイミングで、俺は少し震える手でインターホンを鳴らす。
車の音で、宅配バイクの音が聞こえなかったことをごまかすのだ。
俺の計画は綿密だ。
失敗は許されない。
俺自身はもう、どうなったっていい。
どのみち、彼女を殺した後はその足で自首するつもりだ。
愛する妻と子供を失って、これ以上失うものなどあるものか。
俺は、復讐する。
絶対に、お前らを許しはしない。
『はい、どちら様?』
インターホンの向こうから、くぐもった声。
初公判の時に一度会って話をしたきりだが、状況から考えて彼女に間違いない。
「お待たせしました!いつもありがとうございます!サンシャインピザです!」
俺は少し戸惑いながらも、キャップを被り直してすかさず答えた。
以前、実際に自分もこの店でピザの宅配を頼んでみた。
宅配ドライバーのこのセリフさえ事前に確認済みなのだ。
俺の復讐劇に、抜かりは無い。
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