リベンジャーズワルツ

『今、開けます』

彼女のその短い返事とともに、インターホンは切られた。

ドクドクと、

ドクドクと、

心臓が唸りを上げる。

間もなくして、ドアの向こうから聞こえてくるスリッパの足音。

いよいよだ。

いよいよ、俺の復讐が遂げられる瞬間が近づいているのだ。

包丁に巻いてあった布をその場に落とし、刀身をあらわにする。

ガチャリと、重たい音を響かせてドアが開いた。

「……!?」

目が合った彼女は、

しばらく見ない内に痩せこけていた彼女は、

俺の顔と、手にした包丁を見るなりすべてを悟ったか、背中を向けて家の奥へと小走りで逃げた。

逃がすものか。
逃がすものか。
逃がすものか。

俺も後を追う。

玄関のドアを閉めたかどうかすら定かではない。

定かではないが、もはやここまでくればどうだっていい。

俺は彼女の背中を追う。

廊下は左手に曲がり、その先にはリビングがある。

このアパートも以前、空室があることを利用して不動産屋に中を見せてもらったことがあるのだ。

間取りは、把握している。

逃がすものか。
逃がすものか。
逃がすものか。

そして、廊下を曲がった瞬間。