──夏はまだ、始まったばかりだ──

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「夏奈、覚えてるか?幼稚園の頃さ、約束したこと…」 「…なんだっけ?あ、もしかして私、渡のお嫁さんになるとか恥ずかしいこと言っちゃった?」 「いや、覚えてないならいいんだ」 「何よ、気になるじゃない」 なんで私はあの時、嘘をついて誤魔化してしまったんだろう。 もしも渡が、もう一度約束してくれなかったら、今の私はどうなっていたんだろう。 「夏奈、俺さ、引っ越すことになったんだよ。父さんの仕事の都合でさ」 ───なにそれ─── 「…そう、なんだ…」 「一学期が終わったら、すぐに行かなきゃならないんだ」 ───私との約束は?─── 「大変だね」 「…あのさ、夏奈。俺──」
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