―壱―

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「はいっ!これで大丈夫やで!」 パンッと目の前のおばちゃんの肩を軽く叩く。 おばちゃんはグルリと腕を一回ししながら椅子から立ち上がり 「いやー、ありがとうねぇいつきちゃん。これで明日からも体操にいけるわぁ。」 バンバンっとウチの背中を叩きながら満面笑顔のおばちゃんを二人きりの小さな一室から出ていくのを見送った。 ガラリと静かになった一室。 部屋の九割が白にうめつくされて、狭いながらも圧迫感はない。 「‥‥‥‥‥おばちゃん加減っちゅう言葉しってんかいな。」 ヒリヒリする背中の痛みを感じながら一人ボソッと呟いた。 真っ白な壁にかけてある時計に目だけでチラリと確認し、んーっと両手を上げてのびる。 「午前の診察おーわりっ!」 おばちゃん同様腕をグルングルン回しながら誰もいない診察室で1人鼻歌を歌い帰る支度をする。 ‥‥が、 嫌な気配がこの一室に近づいている なぜだろう 鳥肌がプツプツと沸き上がるのは‥‥‥‥。 「いつきちゃぁーーーん!!」
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