―壱―

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通常ならガラガラと鳴るものが、声の主が触れるとガシャン!!!と耳を塞ぎたくなる音が響く。 「な、何っ!?」 体をビクビクさせながら振り向きざまにかまえる。 無駄にリアクションをつけるウチに話し掛けたのは看護士の歩美。 そしてウチは、19歳にして医者の 桂川 いつき 大きくも小さくもないこの病院に努めている。 この時代、少子化がどんどんひどくなるにつれて、 地球の環境も悪くなり、お偉いさん方は昔よりも成人を早めることにし、そしてこの国を良くするために若い人たちに期待をしている。 “今の考えでは、駄目だ。 ここは頭の柔軟な若者たちにかけるしかない!” とのことから10代にして、医者はもちろん、警察、政治家など、当たり前にいる世の中なのである。 はっきり言ってこの時代は死んでるのと一緒なのかもしれない。 歩「忘れてません?今日お昼から佐々木さんの自宅訪問ですよ。セ ン セ イ?」 ニコニコしながらも背中から黒いオーラを放つ彼女はウチの親友。 え?普通親友に黒いモノ向けます? い「ゎ、わかってますよ!今から行くとこ!」 っと思いっきり裏声になりつつも慌て支度をし何かから逃げるかのようにこの診察室から出た。 歩「‥‥チッ。最近逃げ足が早くなりおって‥‥」 どす黒い歩美も診察室を出た。 ‥‥‥ゾワッ 季節は夏。 この季節には合わない寒気を感じつつ、ウチは病院をでた。
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