プロローグ

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彼は、しきりに細い指を動かしていた。 それに少し杏は注視してしまった。 (指が綺麗・・・。) (あ、ばかっ。) 一人で杏が頭の中で、ノリ突っ込みをしていると ぴろりん~ぴろりん~ 自分の携帯が彼の手の中で鳴った。 「ハイ、有難うございました。これ、お返ししますね。あ、バックに入れておきます」 彼はそそくさと杏のバックに携帯を入れた。 「僕、青木翼です。Y高の2年です。実はあの、河野さんの名刺見て・・・ぶしつけなんですが、お願いしたい事がありまして。」 「あ、え、何でしょうか・・・・。」 丁度駅員が戻ってきた。 それを見て、翼がバツが悪そうに 「あ、あの、電話します。」 「あ、そう。」 少し杏も戸惑っていた。 すると、駅員が、 「君は、学校には連絡しておいたからね。それから、河野さん、救急車呼びました。 それから会社の方にも連絡しましたから。 専務の方ですか、都城様と言う方が大分心配されていましたよ。」 はあ・・・・。 またあの調子で大目玉なのかなあ・・・。 と杏はちょっとため息をついた。 「じゃあ、僕は学校に行きます。今日、授業終わったら連絡しますから。」 「分かったわ。気をつけてね。」 「河野さんこそ、怪我が軽いといいですね。無理なさらないで下さいね」と、翼は言い残し、その場を去った。
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