33人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は、しきりに細い指を動かしていた。
それに少し杏は注視してしまった。
(指が綺麗・・・。)
(あ、ばかっ。)
一人で杏が頭の中で、ノリ突っ込みをしていると
ぴろりん~ぴろりん~
自分の携帯が彼の手の中で鳴った。
「ハイ、有難うございました。これ、お返ししますね。あ、バックに入れておきます」
彼はそそくさと杏のバックに携帯を入れた。
「僕、青木翼です。Y高の2年です。実はあの、河野さんの名刺見て・・・ぶしつけなんですが、お願いしたい事がありまして。」
「あ、え、何でしょうか・・・・。」
丁度駅員が戻ってきた。
それを見て、翼がバツが悪そうに
「あ、あの、電話します。」
「あ、そう。」
少し杏も戸惑っていた。
すると、駅員が、
「君は、学校には連絡しておいたからね。それから、河野さん、救急車呼びました。
それから会社の方にも連絡しましたから。
専務の方ですか、都城様と言う方が大分心配されていましたよ。」
はあ・・・・。
またあの調子で大目玉なのかなあ・・・。
と杏はちょっとため息をついた。
「じゃあ、僕は学校に行きます。今日、授業終わったら連絡しますから。」
「分かったわ。気をつけてね。」
「河野さんこそ、怪我が軽いといいですね。無理なさらないで下さいね」と、翼は言い残し、その場を去った。
最初のコメントを投稿しよう!