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囚われているつもりは まったくないのに 逃れる所は どこにもなかった。 熱く粘りつく 夏の空気は 窒息しそうなほど 濃密だった。 ふだんから ロクなモノを 食わされてないけど、 学校の給食さえあれば 致命的に 栄養が偏るようなコトは なかったのに…、 冷房が効いてると 体調を崩すし、 冷房なしでは 眠れないし、 もともと 体力なんて なかったのに 夏休みに なったせいで さらに 体力をケズられた。 慢性的に 睡眠不足で いつでも 意識が 朦朧としていた。 寝苦しくて 夜中に 目が覚めて 寝付けなかったり、 昼間 脱水症状を起こして 倒れたり、 そんなコトを 繰り返してるうちに 時間の経過が わからなくなっていた。 まるで 鉄格子に封じられた 《檻》のように 自分の部屋から 一歩も 出られなくなっていた。
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