お別れとはじまり

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「やあぁぁぁぁぁ!」 ひょいっ!ガッ!ビターン! どこかの道場の床が軋む音がした。 「遅いよ!あとワンパターン!」 この女、相原 薺は容姿端麗、文武両道のいうことなしの女だが、異様にぬけているところがあった。 まさかその性格が災いするとはまだ考えもしなかった。 「今日の練習終わり!」 「ありがとうございました」 児童が次々に帰宅していくなか、薺は考えていた。 「薺!また来月の試合のこと考えていたのか?」 「父さん!うん!だって今年こそは優勝したいじゃん!」 薺の家は道場だ。 小さいときから剣術を習い、今では都大会準優勝の実力者だった。 しかし去年は決勝戦当日に高熱を出したため、優勝に至らなかった。 「薺!お使い行ってきて!」 「はあい」 なんてことない日常だ。 今日この時までは。
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