闇の中の光

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「ん……」 眠りから覚めて、目を少し開けると日の光が見えた。 窓から差し込む日の光が眩しい。 一度寝返りをうつと、体が少し痛くなった。 起きたばかりであまり力が入らない。 手を使って立ち上がろうとすると、手で支えきらずに倒れてしまった。 赤ちゃんのようだ。 少しの痛みに頭が目覚めてきた。 もう一度、日の光を遮りながら立ち上がろうとする。 こんどは立ち上がることができた。 だんだんと頭がはっきりしてくる。 自分が寝ていた所を見た。 どうやら、床に倒れるように寝ていたようだ。 どうりで痛いわけだ。 家の中を見渡すと、木の床に、木の壁に、木の机が見える。 部屋の中が木で作られた物でそろえてあるようだ。 木の物のばかりの部屋の中で、一つだけ鉄の絵の額縁がかけてある。 しかし絵は入っておらず、額縁のなかみはまっしろだった。 しかし、棚もベッドもない。 少し寂しい感じがするが、木の落ち着く香りがする。 部屋の大体の感じはわかった。 足元のひだまりに目が止まり、窓の外が見てみたくなる。 少し小走りで窓によった。 窓の外を見てみると、一本の道の両側に石造りの茶色の建物がならんでいる。 道はレンガを敷き詰めた道になっていて、その道はずっと向こうまで続いているようだ。 道の向こうには雪で白くなった山がならんでいる。 全くここがどこだかわからない。 「目が覚めたようですね。おはようございます」 誰だ!? 急いで後ろを見ると、男が立っていた。
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