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「……なぁゲイン……」
「…………あんだよ……」
二匹はとある建造物の入口の前で立ち尽くしていた。
その建造物の全容を視界に収めようと顔を上に向けて、ポカーンと間抜けに口を開けて目を点にしているその姿はどこからどう見ても地元から出てきたばかりの田舎者だった。
「…………これ学園?」
「……多分……。門に《カルミア学園》て書いてあるし」
『近くで見ると更にすごいなー……』
その建物とは、世界最大の王都の中でも最も巨大な学園。
《カルミア学園》
「でけぇでけぇとは思っていたが……なんじゃこりゃ。デデデ大王が戸惑うレベルのデカさだな」
「ウチもこんぐらい広いギルドだったらなー……」
と、そこで二匹は周りの視線を集めていることに気づいた。
ーーあの二人何してるのかしら
ーープッ……!!銀髪に金髪……!?
ーー触れるな触れるな、絡まれたら面倒だぞ。行こうぜ
様々な視線が二匹に突き刺さる、が、それは何らおかしいことではない。
″最も巨大な魔法学園″という事は全国民が認識していることだ。
寧ろ、入学できた事に喜ぶ者はいても、今更外観で驚くような者はほぼ存在しないと言ってもいい。
そもそもが今さら校門で立ち止まって大きさを確認するような人物が珍しいのだ。
加えてあの目立つ容姿。
注目されるのも仕方ないと言えるだろう。
「おいウェン、さっさと行くぞ。変な形で注目されても面倒だ」
「うひょー……でっけぇ……」
「俺の話聞いてる?」
二匹は止めていた足を再び動かして学園の中へ入っていった。
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