終末世界

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初夏。あの大震災の傷も癒えぬ関東地方。東大生、沖田雅司は、渋谷道玄坂で買い物しようとしていた。信号待ちしていると、大型ビジョンが自然に目につく。「すると、あなたは今回の大震災は、既に預言されていたと?」番組の司会者の質問がやけに気になった。「そうです」黒いスーツに身を包んだ、40代前半と思われる男が答えた。「新約聖書、マタイの福音書に書かれています。我々は終末世界に住んでいるのであり、現代こそラスト・ワールドなんです」男の顔が真剣実を帯びる。「ラスト・ワールド。つまり終末世界では、伝説の剣が蘇ることになります。5人の「選ばれし者」が悪魔と戦います。しかし、彼らが戦うかどうかは、完全に自己の判断に任されています。彼らが立ち上がらないということもあり得ます」そこでちょうど信号が青になった。雅司は道玄坂に向かって歩いていった。テレビの内容は忘れていた。
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