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ーーー翔
「はあはあ…カレーパン…」
購買までダッシュで走って来た甲斐があった…
おばちゃんも1年前から変わってないようだ
購買の扉を開き、パンコーナーのワゴンを見るとちゃんと目当てのカレーパンがあった
「はい!いらっしゃい!!」
頬にシワを寄せニコニコする笑顔も1年前と変わらない
レジの上にカレーパンを乗せる
「はい!110円だね!!」
財布を開き、小銭をあさる
110円をおばちゃんのしわしわの手の平に乗せようとすると
「…ん?もしかして2Aの子かい?」
「え?あ、そうですけど…」
「じゃあそのまま持ってっていいよ!!」
満面の笑みでカレーパンを渡された
「え?どうも」
なんだろう、やっぱりこっちまで戦争の事が伝わってたのかな?
購買を出ようと背中を向けると後ろから大声が聞こえた
「ねぇ、おばちゃん!俺にも!!」
「ダメ、大川君はD組でしょ」
「そんなぁ~」
大声を出していた子は僕の横に並び、カレーパンをうらめしそうな目で見てきた
「半分あげようか?」
僕がパンをちぎり、差し出すと彼の顔は一気に明るくなった
「いいの!?」
「いいよ、タダで全部食べるのはちょっと気が引けるからさ」
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