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「・・重くないか?」
「クソ重い」
「だったら俺が・・」
もろ心配そうな気持ちが滲み出るダムの言葉についにムッとなり、それをさえぎって俺はダムに最後まで言わせなかった。
「なんだかおまえ白うさぎに似てきた?過保護すぎ」
「!・・・それは・・」
「おまえのおかげでだいぶ楽になったよ だからこれでじゅーぶん」
今はこんな身なりをしているが(それはすごく不甲斐ないことなんだけど)、心はちゃんと男なんだ。男としての意地をへし折って、ダムにこうして力仕事を手伝ってもらっているのに、それ以上やってもらってはさすがに俺の面目が立たないってもんだ。
苦虫でも噛んだようにしかめるダムの顔を見ないようにして
「にしても本当に女の体は不便だよ 全然筋力ねーはスカートなんか履いてスースーするは髪は長いは・・って、これはアリスだから言えることだけど とにかく色んなとこ細くて今は自分の体ながらいつ折れちまうんかびくびくしてるよ いくらアリスの体が鍛えられてるからって、女ってすげーこんな貧弱な体でよく生きていけるなって感じ なってみて初めて気付いた」
「・・そうか」
長々しく話したわりに味気ない返事をされ少し拍子抜けだ。
「俺はあまり君に無理をして欲しくはない」
どうしてこいつはすぐこんな深刻な顔するんだよ。
眉間の皺は高性能なアイロンを押しあててみてもとれなさそうなくらい深く刻まれている。
心配してくれるのは嬉しいけどよ、ちょっと心配し過ぎじゃねーか?
「だから、・・あのなぁダム 」
「君は今はアリスで・・体は女なのだから・・」
「!」
・・・・・・。
「真琴・・?」
「・・あ、うん」
・・・ああ。ダムがこういう仕事や戦いを俺にさせないようにするのはそれが理由か。
今の俺は『アリス』だから・・。
ふと前に俺の体で泣き付くアリス、そしてそれを優しく宥めるダムの姿を思い出す。
「確かに今はアリス・・女だけどな・・俺、・・・・。」
いやいや俺何を言う気だよ。
アリスの体を守れるよう努力する?
ダムはそれを諦めてるから俺を止めてるんじゃないか!?
今の俺はまるっきり戦力にならない、むしろ足手まといだ。
遠回しにそう言われている。
それはすっげー腹立つことで、でもそんなのは『必ず強くなって見返してやる!』って前向きに考えられること。むしろそう考えないとやってらんない。
なのに・・あれ?
なんでこんな胸が締め付けられるんだろ
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