序章~この境遇に至る経緯~

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ある朝私は、不思議な場所で目が覚めた。 辺りは暗く、明かりは見えない。 しかし、何故か自分の姿ははっきりと見え、影すらも見てとれる。 周囲に物がある様子はなく、だだっ広い無機質な部屋の中心にポツンと立たされているように感じた。 私はこの景色に見覚えはない。 だが、何故か幾度となく訪れ、慣れ親しんだ空間であるかのように感じた。 少しして、正面の暗がりから、足音が聞こえてきた。 誰かがやってくるものと思い、そちらを注視していたが、足音は私の目の前で止まったにも関わらず、姿は一切見えない。 自分の手はどこに伸ばそうと見えるのだから、暗いという理由で見えないのではないだろうと思えた。 不気味に感じたが、何故か既視感がする。 直後、私の腕が急に前方に引っ張られた。 凄まじい力で引っ張られた私の体は、そのままプールに飛び込むように横になり、地面目掛けて落ちた。 「な、なんだ!」 思わず叫びながら、私の体は地面にぶつかる目前まできた。 しかし、私の体は地面にはぶつからず、そのまま地面をすり抜けて下へと落ちていった。 深く深く、海に沈むように、ゆっくりと私の体は沈んでいった。 長い時間、私は沈み続けた。 すでに腕を引っ張る力は無く、慣性に任せるままに、体は下へと進む。 遥か下に、底が見える。 息苦しさはなく、落下に抗う意志も沸かなかった。 そして、海底に横になった瞬間、気がついた。 私は自室で眠っていたのだ。
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