始まりは、濃厚ミルクココアの紙パック。

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「それじゃ、ちょっと職員室に行ってくるね!」 中学の時より少し伸びたショートヘアを揺らして、琴は私達以外にもう数人しか残っていない教室を出た。 「本当、行動が早いなー……あ、」 そうだ、最近あれ飲んでない。琴にうげーと言われながらもやめられない、濃厚ミルクココア。 喉の乾きそうな、死ぬ程甘ったるそうなそれは、隣の校舎の端に置いてある自販機で、ひっそりと売られている。 濃厚過ぎて毎日は飲めないけど、2、3日に1回位のペースで飲みたくなってしまう。すごーく甘い物が好きな人には、1度飲んだらクセになる代物だと思う。 たぶん買いに来る人は、ほとんどいないと思う。買うとしたら、きっと私みたいに相当な甘党の人くらいだろうな… 「今から買いに行こうかなー」 琴が戻って来た後、一緒に自販機まで着いて来てもらうのも悪いし、ちゃちゃっと行って、ささっと帰って来れば良いよね。 途中で詰めるのをやめていた教科書を、スクールバッグに放り込んでから私は足早に教室を出た。 .
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