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「――まったく、こんなの片付くわけないだろ!」
山積みになった本を目の前に、溜め息混じりに小さく悪態を吐く。
文芸部員である俺が卒業していった先輩たちの作品を片付けるのは分かる。
だが部室がいっぱいになるくらいまで片付けをしないで放置しておくってどういうことなんだよ。
卒業する前に片付けていけっての。
「あー、無理」
取り敢えず長机とパイプ椅子周辺の本を他の山に移したところで片付けの手を止め、漸く本来の機能を発揮するようになったパイプ椅子に早速腰を掛ける。
何で俺は一人でこんな面倒なことをしているんだ。
こんなのあいつが来てからでいいじゃないか。
──コンコンッ
「はいよ」
「俺だ。 入るぞ」
噂をすれば何とやら。
律儀にノックをしてからはいってくるなんてあいつしかいない。
俺は苦笑いを浮かべながらいいぞ、と返事をすると、あいつが扉を開けて入ってきた。
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