第一章

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「ところで杏、本日の部活動はどうするつもりだ?」 「あぁ、今日は部室の片付けをするぞ」  顧問の坂上先生(美人なんだよね、これが)から直々に命令が下ったんだから仕方ないじゃないか。  ちなみに杏(キョウ)というのは俺の名前で、神山家の長男坊である。  漢字だけ見たら女子に間違われちまって何度面倒な事態に発展したことか……  ま、それはこの際どうでもいいことだが。 「部室の片付け?それはまた、文芸部らしくないな」  確かに言われてみれば今までも坂上先生から言われる部活内容は、文芸とは関係ない花壇の草むしりだったり不要になった備品の移動だったりとボランティアのようなものばかりだった。  もういっそ、ボランティア部にでも改名した方がしっくりくるかもしれない。  ……というか今考えれば坂上先生の雑務を押し付けられた気がする。  くそぅ。 今度部費を踏んだ食ってやる。 「まぁ、活動範囲が部室に移っただけでも素晴らしい進歩と思わなくてはな」 「部活は部室でやるもんなんだけどな……」  
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