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「よっ──と」
作業開始から約一時間、一人でやっていたときよりも格段にスピーディーな感じで部室は綺麗になっていく。
時々出てくる過去の先輩たちの残した聖書(という名のエロ本)をハルにバレないように鞄に入れるという脱線した部分もあったけど、予想以上に順調に進行している。
この調子なら本当に今日中に片付いてしまうかも。
「うわっ!?」
数冊の本をまとめて紙紐のあるところまで持ち運んでいると、間から一冊ずり落ちてしまった。
若干イライラしながら本の束を目的の場所まで運んでから落ちた本を取りに戻る。
「──あれっ?」
本を拾い上げてみてから気付いた。
それは正確には本じゃなくて俺らが授業で使うような普通のノートだった。
片付けている間にもそんなノートは沢山あったけど、大体が小説のネタを書いたものや明らかに授業で使っていたような勉強ノートだったのだが、このノートは違う。
何でかは分からないけど、そんな気がする。
ノートの表紙には大きく綺麗な字で『Dノート』と書かれていて、その下には持ち主と思われる人の『坂上千春』という名前が書いていた。
偶然か、俺たち文芸部の顧問である坂上先生の名前も『坂上千春』なのだ。
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