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「うわぁぁぁぁああああぁぁ!」
塩の入った瓶を床に投げつける。
パリン
塩とガラスの破片が辺りに舞い散る。
「ありがとう……。私、天国に行くついでに、あなたの霊感を一緒に連れていくね。」
「うぅ……、ゴメン、ゴメン……」
俺は泣いた。彼女も泣いている。
「謝ることないよ、あなたは何も悪くないから。最後にひとつ、絶対に自殺はしないで。ちゃんと、あなたの命をまっとうしてから、私のところに来てね」
「うぅ……、約束する……」
「もう限界みたい……、それじゃあ、また会おうね。またね……、××……」
彼女は最後に俺の名前を呼んで、消えた。
「また会おう……」
俺は気づいた。
彼女の名前を聞いていなかったことを。
名も知らぬ女性を愛していたことを自覚して、俺は大声を出して泣いた。
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