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「それじゃ、仕事行ってくる」
「いってらっしゃい!」
彼女はどうやら、俺の家から離れることができないらしい。
なぜだろうか。考えても思い当たる節がないので、彼女の事情だろう、と一人で納得する。
「あんた、家に霊がいるよ」
昼休みに、同僚(女性)にいきなり言われた。
「あ、ああ、いるけど……」
俺は驚きながらもそう答えた。
「なら早く、その霊を成仏させなさい! あんた、その霊をそのままにしてたら、生気を吸い取られて死ぬよ!?」
「……」
嫌なことを聞いてしまったと思った。
確かに最近元気が出ない。
家に帰ると、疲れがドッとのしかかってくる。
「……どうすればいいんだ」
俺は馬鹿だ。
彼女を成仏させたくないのに、こんなことを聞いている。
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