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さて、私はちょっとした用事があって新首都となった摂津国・難波を訪れる機会があった。
――現地の様子はひどいもので、土地がそもそも狭い上に基礎開発すら終わっていないようだった。
町の北側は半分山に突っ込んでいて高台になっており、南側は海岸沿いで低い土地になっていた。
波の音が騒がしくて落ち着かないし、潮風は常に激しく吹き荒れている。
内裏(皇居)は山の中に建てられており、はるか昔の“木の丸殿”を想起させるようで立派に思えた。
だけどやっぱり全体としてはひどい街――という印象は変わらないのだが。
それにしても、京都から川を埋め尽くすほどの船で運び出された建築材はどこに行ったのだろうか?明らかに空き地が多いし、建っている家は全然無い。
旧首都は数ヶ月の不在で荒れ果てているし、見切り発車の新首都は未だに空き地同然。
ゾロゾロと引っ越してきた人達の表情はみな、浮雲のように不安そうであった……
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