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鴨長明(かものちょうめい)は平安時代末期から鎌倉時代初頭にかけての人物です。
“――ゆく河のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず……”の『方丈記』の著者として知られています。
彼は京都でも最古の部類に入る賀茂御祖神社(かもおみやじんじゃ)の神官の家系に生まれました。
和歌や琵琶の演奏を学びつつ、神官として暮らしていたといいます。
しかしながら50歳の頃に一族内での権力争いに敗れ、神官としての出世の道を閉ざされてしまいます。
(一説にはその偏屈な性格が親族に嫌われ、つまはじきにあっていたのだとも言われます)
この出来事は長明の心に深い失望を与えたようです。
元久元年(1204年)、様々な争いが絶えない人間社会の窮屈さにほとほと嫌気が差したのか、長明は50歳にして世を捨てる事を決意。
小さな小屋に一人で住み、世捨て人として気ままに和歌を詠んだり、文章を書いたりしながら仏道修行に励んでいたとされます。
歌人としての著作は和歌の解説書である『無名抄』、僧侶としての著作は古今東西の名僧の伝説を集めた『発心集』が有名です。
この『方丈記』は世捨て人となった長明が記した随筆であり、平仮名と漢字を組み合わせた和漢混淆文における最初の傑作だといわれています。
『方丈記』は長明が体験してきた様々な出来事が美しい文章で綴られた、世の無常を訴える作品です。
未だに迷いを持つ長明が自分自身に言い聞かせるために書いた文章のようでもあります。
そこに描かれた様々な災害の様子や人間模様は21世紀にも通じるモノがあるように思えたので、ここで紹介させていただこうかと思います。
今も昔も変わらぬ自然災害の悲惨さ、人間の在り様、そして世の無常。様々な事を訴えかけてくる『方丈記』、ごらん下さい……
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