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「神戸諸手(かんべもろて)です。……一応、高校に通っています」
「ふむ、では君のことは『諸手君』と呼ばせてもらおう。一応ということは、あまり登校していないのかな? それと、そんなフリは止めたまえ。まるで本当に後ろめたいと感じているような顔は、ね」
老獪のように笑い、紅茶を一口。
「しかし……ふむ、ますます君は我々と同じだ。私の目に狂いはなかったようだね。いや、正常に狂っている、という方が正しいかもしれない」
自虐的な言葉を自嘲するでもなく、いっそ誇らしげに彼女は笑みを浮かべた。
諸手はそんな彼女の言動に首を傾げたい思いだった。
彼は本当に後ろめたく感じていたのだし、そしてそれを虚実だと断言した彼女の、続けざまの言葉。どれを取っても彼には理解し難かった。勝手な物言いに、いっそ憤りさえ湧き上がる。
少女はそれを察したようだったが、何も言わずに細く微笑んだ。
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