事件

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だって・・・・。 怜さんが助けに来てくれた時は、本当に本当に嬉しくて。 あの時の怜さんの姿は、今でも私の目にはっきりと焼き付いている。 それにあの時初めて「アヤ!」って名前を呼んでくれた怜さんの声も、ちゃんと今でも私の耳に残っている。 それはまるで恐怖をも吹き飛ばしてしまう程の威力で、私の中に凄まじい衝撃が走ったのだから。 なのにその後の怜さんときたら。 いつも通りの微笑みを私に投げかけてくれるだけで、映画やドラマのように、ぎゅっと抱きしめてくれるなんてことは一切しなかった。 ただ子供をなだめるように頭を撫でてくれるだけ。 私に触れることは一切しない。
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