事件

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「まあそう言う事だから。今まで黙っててごめんね」 私はさっさと話を切り上げようと言葉をまとめた。 実際、もうこれ以上話す事なんて何もないし。 「もう、照れちゃってぇ」 今のこの二人には、私が何を言っても誤解を生んでしまうようだ。 笑って誤魔化してみても。 「はいはい。照れ臭いんですね。わかりました」 なんて、逆の意味にとられている。 「けど本当にアヤちゃんが無事で良かったです。ここはアヤちゃんの幸せそうな顔に免じて許してあげます」 えっ、私が幸せそう? 思わず顔を手で押さえてみる。 嘘だよ、だって私自身が幸せだって自覚、全くないんだから。 むしろその逆。 「私も幸せになりた~い」 「ねーーーっ!!」 そんな私をよそに、二人は楽しそうに意気投合していた。
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