ボディーガード

2/29
3134人が本棚に入れています
本棚に追加
/781ページ
「お疲れ様」 怜さんはそう言うと、車のドアを開け、車内から姿を現した。 スーツ姿が、夕焼けにとても映えてたまらなくかっこいい。 思わずその姿に見惚れてしまう。 でも、どうしてここに? 私が驚いていると、怜さんは掌をさっと車の中へ向け、「どうぞお乗りください」と言った。 言葉に従い私が車に乗り込むと同時に、ドアがバタンと閉り、 そのまま車は夕陽を背に静かに走り出した。 「アヤ姫これ」 運転中の怜さんが、小さな紙袋を私に差し出してきた。 「何ですか?」 見ると袋には、携帯ショップのロゴが。 どうやら中身は携帯電話のようだ。 「携帯がないと困るよね。俺もアヤ姫と連絡取れないと困るから」 お礼を言うと、私は怜さんからその袋を受け取った。 でも、なんか嬉しくない。 怜さんの呼び方がまた「アヤ姫」に戻っているのが引っ掛かる。 私は無意識に深いため息をついていた。
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!