現実

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今まで隠れていた月が顔を出し、辺りが再び明るくなり始めた。 次第に照らし出されるリョータ君の顔も、今ではよく見える。 お互いの姿が確認できる状態になったところで、不意に背後から声を掛けられた。 「バーカ。お前そんなんも知らねーの?そう言うのを『片思い』って言うんだよ」 誰!? 慌てて振り向いたその先には、月を背にした怜さんが立っていた。 えっ、嘘~!!怜さん!? 怜さんはフッと微笑むと、悪戯っぽく口元を緩ませた。 そして凍りつくように冷たく鋭い視線は、顔をひきつらせたリョータ君ただ一人を捉えていた。 不意を突かれたリョータ君は顔を真っ赤にし、「ちぇっ」と舌打ちすると、すぐに顔を逸らした。
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