現実

13/29
前へ
/781ページ
次へ
「もういいだろ?そろそろ俺の奥さん返してよ」 「か、勝手にしろっ!!」 リョータ君はそう吐き捨てると、私と怜さんの間を猛スピードで駆け抜けて行った。 「やれやれ。あいつにはちょうどいいお仕置きになったみたいだな。そろそろリョータの事、許してやるとするか」 怜さんは私に向かって優しく微笑むと、私の肩をそっと抱き寄せた。 間近にある怜さんの顔を、月の青白い光が優しく照らす。 見つめ合う視線がゆっくりと絡み合う。 怜さんの手が私の頬に伸びてきて、そのままお互いの唇がそっと触れた。 ゆっくりと注ぎ込まれる愛情。 それに応えるように、私は静かに瞳を閉じた。
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3132人が本棚に入れています
本棚に追加