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数秒の間が空いて。
蚊の鳴くような声で、琴音は「自慢したかったの」と呟いた。
「あんたなんかより、飛鳥の方が幸せなんだぞって」
ごめんなさい、あの女に話した私が浅はかだったわ。
暗く低いトーンの琴音は、本当に反省しているみたいだった。
……嬉しいけど。
けどさ、勝手に言わないでよ。
「もしかして、松岡さんに何か言われたの?」
察しの良すぎる質問に、今度はあたしが口ごもってしまう。
「ユウガと会いたいって言われた……」
「それで、飛鳥は?」
「いいって言っちゃった」
緊張感の漂う、無言の時間が流れる。
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