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スパイクが砂をこする音や
目の前の白いゴールテープに
私の心臓はどくどく、と速度をあげた。
「位置について、」
目線を少しだけ審判にうつし、
それからまた自分の靴を見つめ直した。
スパイクをはいて走るのには
何だか慣れず、結局運動靴で
走ったことは私の中で今も思い出で。
ドンッ、と、鼓膜が破れそうな
銃声音で私は思いきり砂を蹴った。
「お疲れ様。ほれ、」
結局、ゴールテープを切ったのは
4番目だった。
しかし自己最高記録が出たことが
とても嬉しくて思わず笑顔になる。
「あっ、ありがとう」
この時の翔太は、何を思っていたのかな――?
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