忘れ物

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きっと高校生ともなると学校の勉強も毎日大変に違いない。 「高校生は大変……」 小さな声で呟くと隣に座っていた団地がチラリと咲の方へと視線を移してきた。 その顔はどこか困ったように眉が歪められている。 「……大変じゃねぇよ、別に」 道本及び団地自身は学校に行っても殆どの授業を寝て過ごしているだけ。 むしろ小学生の咲のほうがよっぽど忙しそうである。 しかしそんな事実を知らない咲はひたすら道本に向かって、尊敬と労いの混じった視線を向けている。 「私は明日休み……団地君達は学校」 咲の呟きに団地は居心地の悪さを感じていると、頭を抱えていた道本が更に声を上げて咲に向かって口を開いた。 「そーだ!大変なんだよ高校生は!つーわけで咲!俺は疲れたから今から言うもん買ってこい!!」 その瞬間団地は隣に座る道本の足を自らの足で勢いよく蹴りつけた。 その蹴りは丁度道本のすねへと的確に蹴りつけられ、道本は声にならぬ叫び声を上げ、苦悶の表情を浮かべた。 「――っ――っ!!」 息も出来ぬ様子の道本を前にいぐさが大爆笑していると、団地は素早く道本に向けていた足をもとに戻した。 「道本君は何が欲しい?」 未だに痛みに悶える道本を前に咲はお使いに行く満々で道本に問いかける。 しかし道本はそれどころではなく、ただひたすら痛みに耐え頭をテーブルへと突っ伏すのみであった。 「こいつの言う事は真に受けるな」 隣で悶え苦しむ道本を完璧に視界から外し団地は咲へと顔を向けた。 「高校生は大変だから私はお使いする」 「いや、だから大変じゃねぇよ」 「………でも道本君は」 「咲さん?道本先輩は馬鹿ですから疲れてると勘違いしていらっしゃるんですよ、ねぇ団地先輩?」 「あぁ、こいつは馬鹿だからな」 「あははは!道本はチョー馬鹿だからな!疲れてる妄想だ!」 道本は馬鹿だと口を揃えて言う三人に咲クビをかしげていると、突然店の奥に居た安本がカウンターへと出てきた。
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