一話 夢の始まり

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幾重にも重なった光のカーテンが俺の体を包む。暖かな黄金色をしたそれは、どこか懐かしい匂いがした。 「ここは、どこだ・・・?」 発した言葉は虚空の中に響く。ああ、きっと夢を見ているんだろうな。この曖昧で無秩序な景色は現実的じゃない。だから、きっと夢だ。 (退屈だ・・・) 何にも無い、ただ広い空間の中で、俺は宙に浮いている。全身が気だるくて、体を動かす気になれない。 (いったい、いつになったら覚めるのだろうか・・・) そんなことをぼんやりと考えてると、どこから声が聞こえてきた 「にゃー、にゃー」 猫の鳴き声だ 「にゃー」 何で猫?いや、この夢に意味などあるはずがない。 「にゃー」 それでも、俺はこの鳴き声を知っているような気がする・・・ 「にゃー、にゃー」 姿は見えない、だけど声だけは未だに聞こえている。 「お前は、誰だ?」 声の持ち主にそう呼びかける 「にゃー?」 どうやら、声は届いているらしい。 「にゃーっ!」 な、なんだ?いきなり、大きな鳴き声をあげて・・・。そう思った瞬間、辺りが真っ白な、光に包まれた。 (どうやら、そろそろ夢も終わるようだ) 無意識に身を委ね、目覚めを待つ。さっきの猫は気になるが、所詮夢の世界の話。気にしたところでどうしようもない。 そして、次第に夢が消えて行く。感覚がハッキリとしてきて、意識がボヤける感じだ。 「ずっと・・・、探していました・・・」 最後に少女のような声が聞こえた気もしたが・・・ 既に、夢の中の出来事を覚えていなかった
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