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幾重にも重なった光のカーテンが俺の体を包む。暖かな黄金色をしたそれは、どこか懐かしい匂いがした。
「ここは、どこだ・・・?」
発した言葉は虚空の中に響く。ああ、きっと夢を見ているんだろうな。この曖昧で無秩序な景色は現実的じゃない。だから、きっと夢だ。
(退屈だ・・・)
何にも無い、ただ広い空間の中で、俺は宙に浮いている。全身が気だるくて、体を動かす気になれない。
(いったい、いつになったら覚めるのだろうか・・・)
そんなことをぼんやりと考えてると、どこから声が聞こえてきた
「にゃー、にゃー」
猫の鳴き声だ
「にゃー」
何で猫?いや、この夢に意味などあるはずがない。
「にゃー」
それでも、俺はこの鳴き声を知っているような気がする・・・
「にゃー、にゃー」
姿は見えない、だけど声だけは未だに聞こえている。
「お前は、誰だ?」
声の持ち主にそう呼びかける
「にゃー?」
どうやら、声は届いているらしい。
「にゃーっ!」
な、なんだ?いきなり、大きな鳴き声をあげて・・・。そう思った瞬間、辺りが真っ白な、光に包まれた。
(どうやら、そろそろ夢も終わるようだ)
無意識に身を委ね、目覚めを待つ。さっきの猫は気になるが、所詮夢の世界の話。気にしたところでどうしようもない。
そして、次第に夢が消えて行く。感覚がハッキリとしてきて、意識がボヤける感じだ。
「ずっと・・・、探していました・・・」
最後に少女のような声が聞こえた気もしたが・・・
既に、夢の中の出来事を覚えていなかった
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