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――1――
〈……次は北千住、北千住。お出口は右側です〉
やけに癖のあるアナウンスが車内に鳴り渡り、それと同時にゆっくりと開くドア。続けざまに多くの人間が出入りし、踵(きびす)を接する。
間抜けな顔した単細胞共が何も知らずにのこのこと。不必要な人間なんぞ存在する価値も無い。そう考えながら、無意識に目線は目の前の人だかりへ。
その中に恐い顔をした中年女性がいた。一際目立つ個性的な服装。上も下もヒョウ柄で髪の色は白髪混じりの紫。
その女性は空いた席を取るのに必死で周りが見えておらず、辺りにいる他人を押しのけている。
笑いをこらえながら一連の動作を眺めていると、やがてドアがプシューと閉まり再び電車が動き出した。
車内にいる人間のうち、ある者はボーっと外の景色を眺め、ある者は周りの迷惑も気にせず大音量で音楽を聞き、ある者は眠たそうに重たくなる瞼を必死にこすっている。
その車両では、女子高生がひそひそと会話をしていた。
「ねぇ、あれ見てよ」
隣にいた友人は言われた通り指さされた場所に目をやる。
「……うわ、あの人マジでキモイ」
彼女達の視線の先には今、電車に乗ってきたばかりの男性が一人。
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