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「全然やさしくないよ。勉強しろとか、宿題やったのかとかそんなことばっかり言ってくるし。後でやるって言っても、後でなんて絶対やらないんだから今やりなさいって言ってくるんだぜ」 勇馬はちょっとお母さんのまねをしながら言った。 「……」 ぼくは宿題は、だいたいお母さんに言われる前にやってるから、言われたことないなぁ。 「直輝のお母さんは言わないだろ?やさしそうな感じだったもんな」 いいなー、俺のかあちゃんと変わってほしいよ、と勇馬は言う。 「……」 たしかにぼくのお母さんはやさしくて、きれいで、じまんのお母さんだけど… 「でも勇馬のお母さんは、熱が出て学校休んでるのに、勇馬を一人家において出かけたりしないでしょ?」 ぼくがそう聞いたら、勇馬はちょっとびっくりしたような顔でぼくを見た。
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