7/26
前へ
/283ページ
次へ
ぼくにはずっとお母さんがいなかった。 おばあちゃんはお母さんの変わりに、ぼくの面倒を見てくれてた。 “お母さん”っていう存在は、おばあちゃんよりもっともっとぼくを大事にしてくれるんだと思ってた。 ぼくの中のお母さん像は、やさしくて、きれいで、せっけんみたいないいにおいがして… いつも笑ってて、いっぱい抱きしめてくれるような、お母さん。 ぼくのお母さんは、たしかにやさしくてきれいだけど、理想のお母さんとはちょっとちがったんだ。 だけどぼくはお母さんが大好き。 だからいいんだ。 ぼくは頭の中で、いいわけみたいなよくわからないことばっかり考えていた。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加