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帰りのバスの中、歩き疲れたあたしは、キミの温もりに安心して眠ってしまった。
目が覚めたのはあたしが降りるバス停に着いた時だった。
「…ご、ごめんなさい」
キミが降りるのは一つ前のバス停なのに…
慌てて謝るあたしの隣でキミは優しい顔で微笑んでたんだ。
「ホント、ごめんなさい」
そう、あたし達が乗ったバスは最終のバス。
「大丈夫だよ!バス停一つなんて歩ける距離だしね。それに、風香ちゃんの寝顔見れたし」
そう言ってキミは笑ってた。
生まれて初めて“人”を愛しいと思ったよ。
キミの笑顔が、声が、全てが…
このままずっと一緒にいたい。
あたしの心に小さな灯りが灯った瞬間だった。
綺麗で儚い線香花火のように…
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