プロローグ

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朝の5時30分。携帯のアラーム音で目が覚めた俺は、二度寝したい思いをグッとこらえて、布団から抜けだした。 そして、顔を洗い、ジャージに着替えると、竹刀を持って部屋の外に出る。 寮の階段を使い、下に下りた俺は、軽くストレッチをすると、竹刀を持って2、3分走り、公園にたどり着いた。 まだ外は薄暗いけど、暖かく、春が来たんだなぁと、強く実感する。 そんな春の気配を感じながら、公園の真ん中で、素振りを500本。 素振りを終えた俺は、額に滲む汗を拭う。 もうこの自主練ももうちょっとで、1年か……。 俺はここ、毘沙門街に来た時の事を、ふと思い出した。 物心着いたときには、既に離婚していて、母親が女手1つで育ててくれていたのだが、無理をしてしまい身体を壊し、金銭的な問題で俺は高校進学は諦めていた。 そんな時に来たのがここ、毘沙門街への勧誘書だ。 俺は、母さんとも相談したのだが、費用が全く要らないと分かった時点で心は決まっていた。 出来れば、このままクリーチャーから人々を守る、『防衛軍』に入隊して1人で食っていけるようになりたいのだが、能力が残念なくらい弱い俺は、色々と苦労している。 ここに来てから、1年が経つが、能力が強いやつには、並の努力じゃ追い付けない。 そんな訳で、ここで毎日(雨の日以外)素振りしてるって訳。 小学校からやって剣道も、ここで続けているし。
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