達也と悠人

9/14
前へ
/1378ページ
次へ
家までの車中は悠人も私も無言だった。 家に着くと…玄関に母が飛び出してきた。 母「由美子!怪我はナイ?大丈夫なの?」 お母さん…私は誘拐されてと訳じゃナイよ? 由美子「…平気。心配かけてごめんなさい…。」 リビングに行くと…父が…力ない笑顔で迎えてくれた。 父「……おかえり、由美子…。」 …おかえり…由美子。 …由美子。 由美子「…………。」 父に名前を呼ばれた瞬間、一気に涙で視界が歪んだ。 何か言わなくちゃ。 でも…喉の奥がジンジンして、一言でも言葉を発したら、涙が落ちちゃう。 私は逃走して、心配かけた側…ここで泣くのは駄目だと思って…泣かない事に集中した。
/1378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1458人が本棚に入れています
本棚に追加