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「ああもう…うるせえなあ。俺は今それどころじゃねぇんだ。これからの輝かしい未来のため、甘酸っぱい青春のため人生設計をしなけりゃいけないんだよ」
「言い訳はきかねえぞ。しっかり今を見つめて反省しろ。お前は考えるばかりで今まで行動できた試しがねぇだろ」
「くっ……!このイケメンが!お前は何もしなくてもモテるからっていつも説教ばっかりで…」
「それは関係ない。大体格好なんてお前と大差なんてねぇさ。俺はお前の引け腰に問題があると思う。……でもまあ今に始まったことでもねぇし今日は早く帰るぞ」
反論できないのは悔しいが、こいつの言う通りだ。俺は恋をしたときだっていつもウジウジと考えるばかりで一度も行動に移せたことがないのだ。
隣のこいつは西野平太。かれこれ10年くらい、小学校からずっとつるんでるまあいわゆる幼なじみみたいなもの。
いつもイラッとする言葉を平然と言ってくるから若干イラついてたり。
「っだあー!分かったから鞄引っ張んな!歩けるっての!」
「お、そうか。悪い悪いそう怒んなって。……あ、そうだ」
教室を出て玄関に続く階段を降りていると平太が急に足を止めた。
「なんだよ唐突に…」
「ほら、夏休み入るわけだし学校もしばらく来ないだろうから、あそこ寄ってかね?」
*
「青いねぇ…」
上を見ると雲ひとつ無い晴天が広がっていた。
まったく。何でいつもこう太陽は元気がいいんだか。俺にも分けてほしいくらいだ。
「おーいアリト。早くしないと始めんぞ」
「始めるったってお前一人じゃ何もなんないだろ」
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