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「よーし。いい具合に孝人が盛り上がってきたところで本題へ移ろうか」
ニカッと自分の親父ながら何とも爽やかに笑い、親父は言った。
え……盛り上がるどころか今のテンションは落ちに落ちてるよ……
「それでだな、今日ここへふたりを呼んだのは他でもない…」
「よ、呼んだって、親父がここへ呼んだのか?」
「ん?なんだ聞いてなかったのか」
「ん……忘れてたな」
左を見るとまるで気にしていない様子でさらっと言ってのける平太。どうやら犯人はこいつらしい。
そしてその台詞はもうお決まりなんだな。
「はは。いいさ、どっちにしても俺が説明するつもりだったからな。
そうだな、まずここへふたりに来てもらったのは簡単に言うと仕事を手伝ってもらう為だ。
いやあ、つい一週間程前にバイトのコが突然辞めてしまってな。なんとかそのままでやっていこうと思ったんだがやはりどうも人手が足りなくてな。
そこで丁度タイミングよく夏休みに入ったっていうふたりに頼んだってワケだ」
「なっ!俺はまだ了承を……」
「親父さん。一度引き受けた事は何としてもやり通す。それが男ってもんですから。
……とアリトがいつも口癖のように言っている言葉です」
「はあ!?何言ってんだそんなこと一言も」
「おお!本当か孝人!そうかそうかお前も男を語れるほど大きくなってくれたか。父さんは嬉しいぞ」
何故か平太に丸め込まれた感が否めないが、反論しようにも親父に遮られてしまった。
しかも平太がこれ以上何も言うなとでも言いたげにを蛇のような眼差しで俺を睨んでやがる。
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